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  ■講師 山本ゆうじ

言語・翻訳コンサルタント。国際学校UWCイギリス校で学び、筑波大学を経て、シカゴ大学人文学修士号を取得。帰国後、フリーランスの実務翻訳者として独立。緻密な合理化ワークフローにより、実務翻訳業務、また大規模翻訳・文書管理/作成の講習やコンサルティングを行う。近著にグローバル・スタンダードの教育を紹介し、日本の教育を問い直す『世界に通じる学校・国際学校UWCの異文化理解教育』など。現在、『通訳・翻訳ジャーナル』に、翻訳者を対象としたツール使いこなしについての「デジタル翻訳者の道具箱」を連載中。
「秋桜舎」のウェブサイトは、http://transpc.cosmoshouse.com/
ブログも開設中。http://cosmoshouse.air-nifty.com/


第9回 翻訳メモリー ツールSDL TRADOS

翻訳メモリー ツールとは

今回は、翻訳メモリー ツールSDL TRADOSについてです。翻訳メモリーとは、人間が訳した訳文を蓄積したデータベースです。翻訳メモリー ツールは、その翻訳メモリーにためた訳文を再利用するためのツールで、IT分野を中心に広く使われています。SDL TRADOS(下図)は、よく使われている翻訳メモリー ツールの一つです。

図1 翻訳メモリー ツールSDL TRADOS 2007
図1 翻訳メモリー ツールSDL TRADOS 2007


図2 翻訳支援ツール

翻訳メモリー ツールは、「翻訳支援ツール」の一種です(図2)。翻訳支援ツールには、業務用翻訳ソフトも含まれます。翻訳メモリー ツールと翻訳ソフトは、原理的に別のものです。業務用翻訳ソフトについてはいまだに根強い誤解がありますが、翻訳メモリー ツールとは異なる特性を持ち、それぞれ長所と短所があります。翻訳メモリー ツールと翻訳ソフトのどちらかが一方的に優れているわけではありません。翻訳メモリー ツールは、かつて翻訳ソフト(機械翻訳)に対する過剰な期待への幻滅から生まれました。また、以前はコンピュータのハードとソフトの限界もありました。しかし、現在はハードとソフトの性能も飛躍的に向上し、また翻訳ソフトの正しい活用法が徐々に認識されてきています。翻訳ソフトにも翻訳メモリーに似た機能がありますが、専用の翻訳メモリー ツールの充実した機能には遠く及びません。翻訳メモリー ツールと翻訳ソフトを組み合わせることにより、もっとも効率的な翻訳支援環境を実現できます。



翻訳メモリーの基本を無料で学ぶ

最近、秋桜舎ではSDL TRADOS を紹介するビデオ(操作デモ)を作成しました。時間は、10〜20 分程度で す。内容は、入門者から中級者向けです。「翻訳メモリーとは何か」といった基本的な内容からご紹介しています。すべ て無料ですので、まずはこちらからご覧ください。「分かりやすさ」を心がけ、文字だけでは伝えにくい点を、実際 の操作画面でご説明しています。翻訳メモリーの基本的な考え方は同じなので、他のツールを使う場合にも役立つは ずです。今後、さまざまな活用法をご紹介していく予定です。ご意見・ご感想、リクエストもお待ちしております。  

SDLサイトのSDL Trados 2007 学習リソースにも役立つ情報が多くあります。



SDL TRADOSの問題解決

SDL TRADOSを使っていて、疑問点や問題があれば、以下の手順を順番に試すとよいでしょう。

1. F1キーを押して、オンライン ヘルプを読む

2. PDF形式のマニュアルを読む

3. SDLのサポートで、エラー メッセージや症状を検索する

4. ウェブで検索する

5. tratool-jpメーリング リストmixiのTRADOSコミュニティ(mixi会員のみ)で他のユーザーに聞いてみる

6. 講習を受ける

7. 有料サポートを依頼する


SDL TRADOSは、慣れれば非常に強力なツールです。ただ、翻訳メモリーの仕組みには、ややこしい点があり、「分かりにくい」という声もあります。行き詰まったら、まずはF1キーを押して、オンライン ヘルプを参照しましょう。

翻訳メモリーを使いこなすには、仕組みをよく理解する必要があります。スタートメニューのSDL TRADOS製品のDocumentationフォルダ内には、PDF形式のマニュアルが多数あります(後述のSP2には、日本語の製品マニュアルが含まれています)。さまざまな機能を十分に生かすには、あせらず、時間をかけてじっくり学ぶ必要があります。


SDL TRADOS 2007 SP2

SDL TRADOS 2007のSP(サービス パック)2が、ダウンロードできます。すでにSDL TRADOSを使っている方は、インストールすることをお勧めします。アップデートの過程には少々時間がかかるので、十分に余裕をとったほうが良いようです。差分ファイルのみでアップデートする場合は、以前にインストールしたときにWindowsの一時フォルダに展開されたファイルが必要になります。Windowsの一時フォルダの不要なファイルを削除している場合は、差分ファイルではなく、SP2を含むファイルを再インストールしたほうが早いことがあります。

SP2での改善点の一例として、「Word 2007での動作が遅い」という問題がやや緩和されているようです。ただ、SDL TRADOS 2007では、TagEditorでWord文書を直接翻訳できます。まだ遅いと感じている方は、TagEditorで作業することをお勧めします。


SDLに提案する

SDLの製品について、すでに使っているユーザーは、「ここはこうしてほしい」「こういう機能があったらいいのに」という要望を、直接SDLに提案できる窓口があります。すでに他のユーザーからのアイデアも採用されているようです。

以下のアンケートで、本コラムについてご希望をお寄せください!


■読者の皆様へお願い

翻訳ソフト メーカーと研究者の団体であるアジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)が、
毎年恒例の翻訳ソフトに関するアンケートを行っています。
http://www.aamt.info/shijou/user-enq-2008.htm

期間:2008年2月5日〜2月25日

10名様に「翻訳ソフト」、20名様に図書券(3,000円分)が当たります。回答項目は
多いですが、当選確率は非常に高いのでお勧めです。

これを機に、アンケートの記入欄に、翻訳ソフトについて思うことがあればバンバン
書いてみてください。意見は確実に届きます。このアンケートは毎年同じ時期に行わ
れますので、機会を逃した方は来年までお待ちください。
他の方にもぜひこのアンケートのことを教えてあげてください。