ワイルドカードによる高度な置換
Wordでは、ワイルドカードを使って複雑な検索や置換ができます。ワイルドカードとは、特定の文字列のパターンを指定する方法です。語句の一部だけが一致する場合、ひらがなや英数字などの種類のみが一致する場合など、複雑な検索と置換を行うことができます。そのため、表記の確認と修正をするのに便利です。
たとえば「メモリ」と「メモリー」という表記が混在している場合に、「メモリー」に統一する場合を考えてみましょう。Wordの「表記ゆれの確認」機能により、このような表記のゆれはある程度修正することができます。F7キーを押して文章校正機能を使うと、このような違いを指摘してくれます。また、「サブ メモリ」「メイン メモリ」といった複合語でも、「サブ」「メモリ」などの各要素を「半角スペースで区切る」という規則を実践していれば、「メモリ」の部分が独立しているため、表記ゆれの確認機能が動作します。しかし、半角スペースで区切らずに続けた場合、たとえば「サブメモリ」「メインメモリ」などは、Word上では「メモリ」とは別の単語とみなされます。そのため表記ゆれの問題が指摘されません。カタカナの複合語を区切らずに続けて書くのは望ましくありませんが、このような表記を統一するには、少し工夫する必要があります。
実際にワイルドカードを使って検索してみましょう。
![図Wordの[検索と置換]ダイアログ ボックス](photo/ph_10.jpg)
図Wordの[検索と置換]ダイアログ ボックス
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1. Wordの[検索と置換]ダイアログ ボックスを開きます(上図)。Ctrl+hのショートカット キーで開くこともできます。文書作成では多用するショートカット キーですのでぜひ覚えてください。
2. 次に[ワイルドカードを使用する]チェックボックスをオンにします。ちなみにワイルドカードを使う場合、大文字小文字などは厳密に区別されます。
3. [検索する文字列]に、「メモリ[!ー]」と入力します。[!ー]は「メモリ」の直後の1文字が「ー」(長音記号)「ではない」ことを指定します。「メインメモリが……」といった文字列では「メモリー」ではないので、検索できることになります。
さて、これで「メモリ」という表記は検索できました。それはいいのですが、当初の目的はすべての「メモリ」を「メモリー」にすることです。そのようにするには、[検索と置換]ダイアログ ボックスで以下のように入力します。
| [検索する文字列] |
メモリ([!ー]) |
| [置換する文字列] |
メモリー\1 |
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[検索する文字列]で半角丸かっこでくくった箇所「[!ー])」は、[置換する文字列]で「\1」と表せます。半角丸かっこでくくった箇所を、 [置換する文字列]に反映できるということです。これで「メモリ」を「メモリー」に置換することできます。「\1」がないと、「[!ー])」で指定された「メモリ」の直後の1字は消えてしまいますので注意してください。
[検索する文字列]に半角丸かっこでくくった箇所が複数あれば、前から順に\1、\2……となります。このような入れ替えは、backreferenceと呼ばれます。文書中の最後に書いた個所を「前」とした場合は「後方参照」、文書中の最後に書いた個所を「後ろ」とした場合は前方参照と訳されています。しかし、これは「以前の場所を参照する」という意味ですので、個人的には戻り参照と訳すのが妥当ではないかと考えています。
それでは応用問題です。次のワイルドカードでは、どのような置換が行われるでしょうか。
| [検索する文字列] |
(Yuji) (Yamamoto) |
| [置換する文字列] |
\2 \1 |
| 検索する文 |
Yuji Yamamoto |
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\2と\1の間に半角スペースが入っている点に注意して、実際に試してみてください。
このように、ワイルドカードを使って語順を入れ替えることもできます。英語と日本語では語順が異なるわけですが、単純なリストの翻訳などでこの機能を活用すれば、楽に作業できることがあります。しかし、少し複雑な文の場合は、計画的に翻訳ソフトをカスタマイズして使った方がさらに効率的です。
このコラムの目的は、ワイルドカードの包括的なリストを示すよりも、「ワイルドカードでなにができるか」をご紹介することでした。ワイルドカードには他にも役立つ活用法がいろいろとあります。詳細については、Wordのヘルプで「ワイルドカード」を検索してみることをおすすめします。
なお、ワイルドカードは拙作のWord置換ツール「換の玉」でも使うことができます。「換の玉」についてもそのうちご紹介しますが、[検索する文字列]と[置換する文字列]のペアを多数保存しておけるので、繰り返し発生する表記統一、誤記修正などに活用できます。翻訳部門、出版社、メーカーなどでもスタイル ガイドを自動化するためにお使いいただいています。です。
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