無料の翻訳メモリー ツールOmegaT
オープンソースの翻訳メモリー ツールOmegaT
今回は、翻訳メモリー ツールOmegaTをご紹介します。OmegaTはオープンソースのソフトウェアであり、無料で利用できるのが大きな特長です。「翻訳メモリーって高そう」「どんなものかまず試してみたい」という方には最適です。OmegaTのもう一つの特長は、MacやLinuxにも対応していることです。
OmegaTはこちらからダウンロードできます。このサイトには日本語の説明はありませんが、OmegaT自体は、日本語を含め各国語のインターフェースで使用することができます。毎月数千件ダウンロードされており、注目されているといえそうです。
OmegaTを使用するには、OmegaT本体に加えてJava Runtime Environment (JRE)というモジュールが必要です。JREがインストールされていなければ、上記サイトでJREを含むパッケージを選んでダウンロードし、インストールします。
作業の流れ
OmegaTでの作業の流れは以下のようになります。
1. プロジェクトを作成し、翻訳する原文をプロジェクトに追加する
2. 翻訳する
3. 訳文を生成する
翻訳メモリーの基本は「以前に訳した訳文を再利用する」ということです。この考え方を知っていれば、簡単に使うことができます。
OmegaTでは、オープンなTMX形式を使用しています。手持ちの翻訳メモリーがあれば、TMXに変換して使うことができます。SDL Tradosでは、WorkbenchからTMXにエクスポートできます。
翻訳対象の文書形式としては、プレーン テキストのほか、HTML、Word 2007(docx)、・Excel 2007(xlsx)・
PowerPoint 2007(pptx)などOffice 2007 文書形式、OpenOfficeのODF形式などにも対応しています。ただしWord 2003以前の、doc形式のWord文書には対応していないので、Word 2003以前しかなければ、Word 2007形式で保存するアドインかODF変換アドインを使います。
実際の操作
以下がOmegaTの実際の画面です。左に翻訳対象、右上に翻訳メモリー内に一致した文が表示されます。

今は、4番目の分節(ひとつの文の区切り)を翻訳しているところです。「どの文をどう訳したか」確認するために、[表示]メニューから[原文表示]オプションをオンにすることをお勧めします。ここでは、[翻訳済み分節を色づけ]もオンにしています。
タグを含む文書では、外部タグ、つまり「文全体を囲むタグ」は、Trados同様に意識する必要はありません。ただ残念ながら、OmegaTでは、内部タグがTradosのようなまとまった形ではなく、<w0><w1><w2>……のようにテキストと同じ扱いになります。目で見て対応関係が把握しづらく、タグを誤って壊す可能性があります。タグを含まないプレーン テキストの原文であればスムーズに翻訳できるでしょう。
翻訳中に、用語集に含まれる用語を参照することもできます。ここではproductという語の用語が、右下の用語集に表示されています。用語集は、大文字小文字の変化は同一語とみなしますが、ファジーマッチ機能はありません。なお用語標準仕様UTXの辞書・用語集も、拡張子をutf8に変更するだけでOmegaTから用語集として参照することができます。
協力者の輪
香川県で活躍されている翻訳者で、OmegaTプロジェクトの主要メンバーの一人、エラリー ジャンクリストフさんにお話を伺ってみました。「使用者も開発者もプロの翻訳者で、自分たちのニーズに合うソフトとして作っています。サポートは、日常的にOmegaTを使っている翻訳者によって、日本語でもその他の言語でも行われています」とのことです。
公式のSDL Trados認定コースの講師で、Tradosの動画デモを多数作っている私が、なぜOmegaTを応援しているのでしょうか。Linux系のオープンソースの翻訳では、プロの翻訳者がかかわることは少なく、ボランティアがいまだに手作業で翻訳をすることがほとんどです。翻訳工程でパソコンの能力を活用しようという発想がないのです。そのため、残念ながら翻訳の品質には重大な課題があります。確かにボランティアは重要であり、増えるといいのですが、一方で「翻訳なんてだれにでもできる」という考えは不幸な誤解です。翻訳を専門的に学ぶとともに、もっと翻訳メモリーを活用して、体系的に翻訳プロジェクトを行うことで、時間と労力が減らせ、品質が高められることをぜひ理解していただきたいものです。OmegaTは、そのために非常に役立つはずです。国や地方自治体や大手のIT企業が、もっと積極的にオープンソース翻訳を支援すればいいのですが……。
OmegaTについて、ヘルプやネットで調べても自己解決できない点がある場合は、約1000名の参加者がいるOmegaTメーリング リストに参加することでヒントが得られます。
OmegaTのようなオープンソースのソフトウェアは、自主的な協力者によって支えられています。マニュアルやその翻訳を含め、開発はすべてボランティアで行われています。市販のソフトとは異なる点に戸惑うことがあるかもしれませんが、OmegaTの意義に賛同される方は協力されてはいかがでしょうか。「自分が協力したソフト」を仕事で使う満足感は、一味違うものがあるはずです。OmegaTのヘルプの、「取扱説明ガイド」に詳細が説明されています。
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