図書館を持ち運ぶ――電子書籍の活用法
なぜ電子書籍?
先日、色彩検定を受験してきました。多くの色の名前を覚える必要があるのですが、英語の観点からいくつか面白いことに気づきました。群青を意味するultramarineという語は、どういう意味かご存じでしょうか。「マリン」という部分から海の色なのかと何となく思っていましたが、「海を越えてきた色」ということらしいです。「海越色」と訳すと近い意味になるのかもしれません。またumber(暗い茶色)とamber(茶色)は別の色で、語源も異なりますが、日本語ではどちらも「アンバー」です。
それはさておき。みなさんは電子書籍を読まれていますか? 私は本という物理的な存在を、その内容とは分けて考えています。内容そのものが興味深ければ外側は気にしません(豆本など雰囲気のある本は好きですが、内容とは別問題です)。
電子書籍の利点はいくつもあります。
- 多くの電子書籍を楽に持ち運べる
- そのため、いつでもどこでも思いついたときに読むことができる
- 何冊入手しても場所を取らない
- 読みやすいようにフォントの大きさや種類を選べる
- 検索ができる
私は重さ250グラムの携帯情報機器EM-ONEで、辞書は別にして62冊の英語の本と、286冊の日本語の本を持ち歩いています(左写真の電子書籍リーダー ソフトはMicrosoft Reader)。もっとも多くは「電子的積ん読状態」ですが……
電子書籍と通訳・翻訳のかかわりですが、まず原文を読む訓練になります。さらに無料で公開されている原文を自分で翻訳して、翻訳の練習をすることができます。私もずいぶん前に青空文庫に拙訳を掲載していただきました。原作の著作権が切れていることが確認できれば、自分で翻訳した作品を販売することもできます。もちろん単なる息抜きとして小説を読むのもよいでしょう。
なにを読む?
多数の電子書籍が有償・無償で公開されています。日本語では青空文庫が有名です。英語やその他の言語では、Wikipediaの姉妹サイトで電子書籍を集めたWikisource、古株のProject Gutenberg、ヴァージニア大学のElectronic Text Centerなどがあります。
著作権が切れて公開されている作品の多くはいわゆる古典ですが、今日でも魅力を失わない作品は数多くあります。私は"The Great Gatsby"もまだ読んでいないのですが、なかなか評判の良い映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の原作である”The Curious Case of Benjamin Button” も読んでおきたいです。ハードカバーなら1.2キログラム、650ページある“Ulysses”も、電子書籍なら1グラムたりとも荷物が増えません。
どのハードウェアで読む?
電子書籍は、デスクトップはもちろんネットブック、iPhoneなどのスマートフォンといった携帯可能な機器で読むことができます。電子書籍の専用携帯機器とサービスもあり、2009年現在で日本ではすっかり消滅してしまいましたが、AmazonのKindle、Sony Readerなど、海外では根付いてきています。
前述のEM-ONEは、ポケットに入れてどこにでも持ち運ぶことができ、携帯電話よりは重いが画面が4インチあるという利点がありましたが、それでも本を読むには画面が小さすぎました。
私は最近、重さ735グラムのVAIO type Pを購入したので、電子書籍を読む道具として使えるか試してみたいと思います(下記写真の電子書籍リーダー ソフトはAdobe Digital Edition)。

片手で楽に扱える大きさと重さです。type Pは画面が高精細で、文字が見づらい機種とはよく言われますが、電子書籍リーダー側で調整ができ、むしろ非常に滑らかな美しい文字で読むことができます。かなり発熱するので、冬はカイロ代わりにもなります。
どのソフトウェアで読む?
電子書籍を読むためのソフト、電子書籍リーダーも無料で入手できます。「インターネット ブラウザやPDFリーダーでもいいんじゃないの?」と思われるかもしれません。しかし電子書籍リーダーには、本のカタログであるライブラリ機能、しおり機能など、「本を読むための機能」があります。特に「どこまで読んだか」を記録しておく、しおり機能は必須と言えます。また「書き込み」ができるメモ機能もあります。
電子書籍リーダーの中では、calibreはなかなか高機能でお勧めです。Adobe Digital Editionも悪くはありませんが、カスタマイズがほとんどできない点は不満です。この2つは、どちらも最近広まりつつあるEPUBというファイル形式に対応しています。Microsoft Readerは、独自のlitという形式で、辞書が内蔵されているのは良いのですが、やはり柔軟に設定ができないのが難点です。ただMicrosoft Readerでは、Windows Vistaの標準機能や、有償・無償の機能として、音声読み上げ機能を追加することもできます。完璧ではないにしても、最近の音声読み上げは自然な人間の声にかなり近くなっています。この記事も、音声認識で執筆していることに加えて、パソコンに読み上げさせてチェックする「音声校正」をしていることは以前にもご紹介しました。人間が朗読するオーディオブックについては、また機会があればご紹介したいと思います。
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