読書の秋にオーディオブックのひとときを
"Call me Ishmael."
『CSI:科学捜査班』で、主任のグリッソムが"Call me Ishmael."と呟き、聞き返す部下のアーチーに"You need to read more, Arch."と諭すシーンがありました。何の話かお分かりでしょうか。
今日はオーディオ ブックについてご紹介します。オーディオ ブックとは、書籍の朗読を録音したものです。CDとしても発売されていますが、インターネットから無料で入手できる作品も多くあります。たとえばLibriVoxでは、世界各国のボランティアが朗読した2000本以上の作品を無償で公開しています。著作権の切れた古典作品が中心です。たとえば、Moby-Dickは全文朗読を無料で聞けます。"Call me Ishmael." はMoby-Dickの最初の一文でした。グリッソムは「(それくらい分かるように)もっと読書しろよ」と言っているわけですね。Moby-Dickについては、注釈付の全文テキストもあわせて読むと参考になります。
LibriVoxには、英語だけでなく、フランス語、ドイツ語、スペイン語などでもそれぞれ数百の作品があります。中国語では李白や杜甫などの漢詩や『聊斎志異』、イタリア語では『神曲』などがあります。詳細検索から言語を選択できます。
「児童文学」の奥深さ
LibriVoxには、Moby-Dickのような長篇ばかりでなく、気軽に聞ける短篇も多数あります。またいわゆる「児童文学」、おとぎ話、グリム童話などもあります。短くて語彙も少ないので、初級の語学学習にも向いています。アンデルセンのThe Mermaid(『人魚姫』)を聞いてみました。児童文学は、日本語に訳すと子どもっぽくなりすぎるのが常ですが、(日本語よりは)原文に近いはずの英語で聞いてみると新鮮です。
その他に、女性に人気の高い『赤毛のアン』(Anne of Green Gablesほか)シリーズはいかがでしょうか? シャーロック・ホームズのシリーズもありますが、こちらはやはりイギリス英語の朗読者が読んだほうが雰囲気が出るようです。このような教材を、中学校や高校で、少しずつでも授業に取り入れれば、日本人の慢性的な英語力不足を改善できるのではないでしょうか。
また著作権が切れている作品は、自分で翻訳して公開できることがあります。気に入った話があれば、自分で翻訳してみるのもいいかもしれません。
iTunesのコツ
オーディオ ブックは、iTunesで管理するのがお勧めです。オーディオ ブックは短いものでは10分以下ですが、1時間近くになる朗読もあり、なかなか一度では聞けません。iTunesでは、どこまで再生したかを記録できるので便利です。
LibriVox などからダウンロードしたmp3ファイルは、簡単にiTunesに取り込むことができます。(zip圧縮されている場合は展開してから)mp3ファイルを、iTunesのライブラリにドラッグ&ドロップするだけです。
ただし、そのままだと音楽と同様の「ミュージック」扱いになってしまい、どこまで再生したかが記録されません。mp3ファイルを右クリックして、プロパティの[オプション]タブで[再生位置を記録]にチェックを入れると、どこまで再生したか記録されるようになります。また、[メディアの種類]を[オーディオ ブック]に変更することで、ライブラリ内で「ミュージック」扱いの楽曲と区別して整理できます。

iTunesで再生位置を記録する |
オーディオ ブックの探し方
オーディオ ブックを探すとき、LibriVox内で検索するのもいいのですが、まずは英語版Wikipediaで作品名を検索するのがお勧めです。LibriVox以外の朗読も見つかりますし、Moby-Dickのように、全文テキストや注釈、映画化されている作品では映画などの関連情報も見つかります。
またLibriVox 以外のオーディオブックとして、Audible.comは有料ですが、新刊の作品を聞くことができます。
ちょっとご注意
LibriVoxのようなボランティアが行う朗読や、多くのポッドキャストでは、制作態勢が整った環境でプロのアナウンサーが読むわけではありません。日本語のポッドキャストを聞いていても、読み手が、読み違えていることにしばしば気づきます。上人、(豆腐などに使う)苦汁、重石、口伝、枯山水、豊家……これらはすべて実際のポッドキャストで読み間違えられていた語です。みなさんは読めますよね? 英語などでは「漢字の読み間違い」はありませんが、読み手が発音を間違える可能性もある、ということは注意したほうがいいでしょう。
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