
「ライティングT」は日→英翻訳のベースとなる基本的な英文ライティング力を学習する講座。翻訳系コースの中ではエントリーレベルにあたる。とはいえ、授業はすべて英語で実施。ネイティブ講師が英文ライティングのルールを丁寧かつ体系的に指導している。
授業はボキャブラリーテストで始まる。この日のテーマは「医療」で、英語で書かれた定義を読んで該当する単語を答える。出題された単語は、pediatrician(小児科医)、geriatrician(老人病医)など。答え合わせのときのジェニファー・マグワイヤ先生の解説(「cardio-で始まる単語なら「心臓」に関連する語だと推測できますね」)を聞いていると、「接頭辞」についてもすでに学習済みのようだ。
単語テストが終わると、授業は本題へ。本講座では「パラグラフ・ライティング」に力点を置いており、この日の学習テーマは「unity(まとまり)とcoherence(一貫性)」だ。
ここから授業は、宿題(解説テキストおよびリーディング課題とそのワークシート)をこなしてきていることを前提に進められる。「unityとはどういうこと?」「coherenceのあるパラグラフにするための方法は?」といった質問に対し、英語で返答する受講生たち。マグワイヤ先生は“good!”“excellent!”などと予習の成果を讃え、ポイントを板書して解説していく。
こうしたやり取りの合間には、宿題だったエクササイズの検討も行われた。これにより、受講生の理解が曖昧なところがあぶり出され、即座に解消されていく。さらに、新たなパラグラフを使ってクラス全体で「unityとcoherence」という観点から問題点を分析。仕上げは、分析した例文をより良いパラグラフにリライトするクラスワークだ。演習に先立ち、マグワイヤ先生はこの日の学習ポイントを再確認した。
「controlling idea(パラグラフを支配するアイデア)が何かを考え、関連した情報だけを盛り込むこと。パラグラフの最後には“締め”の文章を入れてください。parallelism(対句法)やtransitional expression(文章のつながりを示す表現)にも注意しましょう」
受講生全員が25分でリライトし、提出。原稿は先生の添削を受けて後日返却される。理解の確認、定着と応用、そして実践へ。学習プロセスは緻密にしてシステマティックだ。

能動的に読むリーディング演習

授業の後半では、前回のクラスワーク(統計を元にした文章の作成)の講評、宿題だったリーディング課題(英語の記事二本)に関するディスカッションが行われた。とりわけ興味深かったのはsin tax(罪悪税)をめぐる英字紙の討議。マグワイヤ先生は「sin taxについてどう思うか」と尋ね、受講生に意見を述べさせていく。これは自ら考えながら読む能動的リーディングの第一歩であり、前半で行ったパラグラフ分析にも通じる。「良き書き手は良き読み手」ということを、先生は暗に伝えているのだろう。
授業を見学して感じたのは、この講座が本格的なライティングの実践講座だということ。「文章を書くとはどういうことか」を方法論的に指導する内容は、日本語の文章作成にも応用できるものだった。
授業を英語で行うことは、英語的思考の訓練にもなることは間違いない。マグワイヤ先生は受講生の発言をすべて「〜ということね」と言い換えていたが、それを聞いていれば「どう表現すればわかりやすく自然な英語になるか」もわかる。こうしたことは、英文ライティングにも必ず生きるはずだ。
授業の最後、「たくさんの宿題をがんばってやってきてくれることに感謝します」とマグワイヤ先生。褒めて伸ばす先生の指導も、とても好印象だった。
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