ソーラー

ちび、でぶ、禿げ。かつ根っからの女たらしで、結婚しては離婚の繰り返し。そんな中年の物理学者マイケル・ビアードは若くしてノーベル賞を受賞しながら、今や研究所の名誉職に収まり、かつての栄光は見る影もない。そんなある日、部下に新しい太陽光発電のアイデアを打ち明けられ、大いなる可能性を見い出す。名誉から実利へ鞍替えしたビアードは、投資家から莫大な資金を集め、研究に取り組み、特許を次々に取得。果たして、革命的な新エネルギーは誕生なるのか?
原発事故により、日本国民は電力会社と国と学者のよろしくない関係を知ってしまった。この小説を読めば、地球温暖化とエネルギー問題をめぐる国と学者と投資家のよろしくない関係、そして人間のエゴを知ることになる。ビアードの可笑しくも悲しい人生を経由して、彼を取り巻く人間たちを通して。
本当に地球のためなのかそれとも金儲けのためなのかがグレーゾーンにある怪しげな問題に切り込み、風刺も効いている。だがビアードというキャラクターは、それらを伝えるための単なる方便ではない。初老になっても食欲と性欲にギラギラし、唯我独尊のいやな人間だが、憎み切れないのはどうしてだろう?
読み終えた直後、「うーううう」とうめき声を漏らしてしまった。何とも言えないこの読後感、今の時代だから噛みしめるべし。 |